岡崎の方向けの相続相談【弁護士法人心】

遺言執行者の義務

  • 最終更新日:2021年5月10日

1 遺言執行者の義務とは

遺言執行者の義務として、以下のような義務があります。

①遺言執行の任務の開始義務

②相続人への遺言内容の通知義務

③財産目録の作成、交付義務

④善良な管理者の注意義務

⑤相続人への報告義務

⑥受取物等の引渡義務

⑦金銭の消費についての負担義務

遺言執行者として、就任した場合は、これらの義務を怠らずに、手続きを進めていく必要があります。

以下では、それぞれの義務について、簡単にご説明します。

⑴ ①任務の開始義務

遺言執行者は、遺言執行者としての就任を承諾した時から、直ちにその任務を開始しなければなりません。

⑵ ②相続人への遺言内容の通知義務

遺言執行者は、その任務を開始した時は、遅滞なく、全ての相続人に遺言の内容を通知しなければなりません。

この通知義務は、たとえ遺産を受け取らない相続人に対しても、通知する必要があります。

⑶ ③財産目録の作成、交付義務

遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録(財産一覧表等)を作成して、すべての相続人に交付しなければなりません。

⑷ ④善良な管理者の注意義務

遺言執行者は、遺言の執行に当たって、善良な管理者の注意をもって、その任務に当たる必要があります。

簡単にいうと、相続財産に対して、自分の財産を管理するよりも、より注意を払って管理を行う必要があるということです。

なお、この注意義務の程度については、遺言の執行に要求される専門知識、遺言執行者の能力その他によって、異なります。

そのため、弁護士等の専門家が遺言執行者となる場合、要求される注意義務は、一般の方よりも高くなります。

⑸ ⑤報告義務

遺言執行者は、相続人から要求があったときは、いつでも遺言執行の状況等について、報告しなければなりません。

この報告義務についても、遺言書で遺産を受け取らない相続人に対しても、報告する必要があります。

⑹ 受取物等の引渡義務

遺言執行者は、遺言執行の任務として、相続人のために関係者から受け取った金銭、その他の物等を相続人に引渡し、また移転しなければなりません。

たとえば、解約した預貯金やマンションの賃料等について、すみやかに相続人に引き渡す必要があります。

また、不動産の名義変更等も行わなければなりません。

⑺ 金銭の消費についての負担義務

遺言執行者は、遺言の執行として、引き渡すべき金銭等を自分のために使ってしまった場合、使った日以降の利息を支払うとともに、使用したことによって生じた損害を賠償する責任を負います。

2 遺言執行者の義務を怠ると大変なことになるかも

以上の通り、遺言執行者として行う義務は、様々なものがあります。

そして、この義務を怠ってしまうと、相続人から損害賠償請求をされたり、遺言執行者として解任されたりする場合があります。

実際、遺言執行者が相続人に対する通知義務、報告義務を怠った事例で、弁護士費用や慰謝料も含めて、損害賠償が認められた事例もあります。

また、遺言執行者が十分な執行手続きを行わないため、裁判所から解任された事例も存在します。

そのため、一度、遺言執行者になった以上、遺言執行者としての義務を全うする必要があります。

3 遺言執行者を弁護士にしておいた方が安心

このように、遺言執行者は、様々な義務を負い、また、その義務を怠った場合、損害賠償等の責任を負います。

そのため、ご自身で遺言執行者として手続きを行うことがご不安な場合は、弁護士に手続きを委任した方が安心です。

依頼する弁護士については、なるべく相続に強い弁護士に依頼することをおすすめします

理由としては、相続法が改正され、遺言執行者の任務の内容についても、大きく変わっているため、しっかり相続法について勉強されている弁護士でないと、十分な遺言執行が行えない可能性があるためです。

なお、これから遺言書を作成される方は、弁護士を遺言執行者に指定しておいた方が、相続人の負担を減らすことにもつながるため、おすすめです

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